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同乗者と自賠責保険

カテゴリ: 交通事故

名古屋の弁護士の能勢洋匡です。

 

 本日は、自動車の同乗者として交通事故に遭われた際の自賠責保険について、お話します。

 

1 同乗者と自賠責保険

  自動車事故の被害者は、加害者の自賠責保険に対して治療費や慰謝料などの保険金を請求することができます。

  自賠責保険の傷害部分の上限である120万円まで、治療費、通院交通費、休業損害及び慰謝料等を請求できます。

  この際、お互いの運転手の過失が競合して自動車事故が発生した場合、同乗者の方は、運転手側車両の自賠責保険も使うことができる可能性があります。

  すると、自賠責保険が120万円×2=240万円まで使えるため、任意保険会社が一括対応を打ち切った後も、被害者請求により治療費や慰謝料を回収できることが多いです。

 

2 運転手側車両の自賠責が使えないケース

  自賠責保険は、自動車の運行によって「他人」の生命又は身体を害してしまった際の損害賠償に関する保険です(自賠法16条・同3条)。

  このため、同乗者の方が事故車両の所有者であるなど、運行供用者に該当する場合には、運転手側車両の自賠責保険を使うことはできません。

  また、運転手側に事故について過失がない場合にも、運転手側車両の自賠責保険を使うことはできません。

  同乗者の方が、両運転手の自賠責保険を使えるかどうかは、交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。

無保険車事故への備え

カテゴリ: 交通事故

こんにちは。弁護士の能勢です。

本日は、任意保険未加入の車両(無保険車)による事故に遭った場合について、お話します。

 

1 任意保険未加入の車両による事故

  現在、公道を走るほとんどの車両には任意保険がつけられていますが、一部には、自賠責保険のみ、あるいは、自賠責保険にさえ加入していない車両も存在しています。

  任意保険未加入の車両(無保険車)による事故の被害に遭ってしまうと、被害者は、大きな負担を強いられます。

  加害者が任意保険に加入していれば、保険会社が介入し、治療費の支払いや車両の修理費等の交渉窓口となります。

  一方、加害者が任意保険未加入の場合、加害者本人と交渉をしなければなりませんが、加害者本人は交通事故に関する知識に乏しいうえ、無資力であることが多いため、スムーズに補償を受けられる可能性は低いと言わざるを得ません。

 

2 無保険車事故への備え

  無保険車による事故に遭い、加害者が交渉に応じない場合には、訴訟を通じて賠償を受ける必要があります。

  しかしながら、仮に勝訴したとしても、加害者には資力がないことが多く、賠償金を回収できないことがほとんどです。

  このため、万が一の事故に備えた対策が必要になってきます。

  たとえば、車両保険に加入しておけば、加害者が無保険であったとしても自身の保険会社から修理費等の補償を受けることができます。

  また、人身傷害保険は、特約により、歩行時や自転車に乗っている際の事故による傷害まで補償範囲を拡大できることが多いため、万が一の事故に備えて特約を付けておくことをお勧めします。

事故に遭われた際は保険内容の確認を

カテゴリ: 交通事故

名古屋の弁護士の能勢洋匡です。

 

 本日は、交通事故に遭われた際の保険内容確認の必要性についてお話します。

 

1 交通事故と自動車保険

  交通事故の被害に遭われた方は、お怪我をされたり、自動車や身の回り品が壊されるなどの損害を被ることあります。

  自動車保険に加入しているお車で事故に遭われた場合、保険内容の確認をされることと思います。

  しかしながら、自動車保険は、お車に乗っていないときの事故でも補償を受けられるものが存在しています。

 

2 自動車保険の確認が必要な場合

  歩行中や自転車に乗っている際に自動車事故に遭われた場合、事故態様によっては、相手方保険会社が治療費の支払を拒んだり、あるいは、相手方の車両が傷ついたことに対する賠償を求められることがあります。

 そんなときは、ご自身やご家族の自動車保険を確認する必要があります。

 たとえば、人身傷害保険は、原則として、契約している車両に乗車中の事故の損害を補償するものですが、特約で、同居のご家族が自転車や歩行中に事故に遭われた場合まで補償範囲を広げることができます。

 また、相手の自動車を傷つけてしまった場合に、ご家族が個人賠償責任保険に加入していれば、そちらが損害賠償を対応してくれます。

 ご家族が弁護士費用特約に加入されていれば、保険会社による費用負担で弁護士にご依頼いただくこともできます。

 

 万が一自動車事故に遭われた場合、弁護士にご相談いただければ、確認する必要があるご家族の保険内容についてお伝え出来ます。

通院の間隔を空けないこと

カテゴリ: 交通事故

名古屋の弁護士の能勢洋匡です。

 

 本日は、交通事故の通院間隔の注意点についてお話します。

 

1 自動車事故と治療費

  自動車事故に遭い、お怪我をされた場合、医療機関で通院治療を受ける必要があります。

  被害者側に大きな過失がない場合は、加害者側保険会社が直接医療機関に治療費を支払う、一括対応をしてくれることが多いです。

  ただし、むちうち等で継続的なリハビリを受ける必要がある場合、通院の間隔が空いてしまうと、治療費の請求が認められないことがあります。

 

2 通院間隔と自賠責保険

  自動車事故でお怪我をされた方は、相手方の自賠責保険に対して治療費を請求することができます。

  また、加害者側任意保険会社が治療費を支払う場合も、後で、相手方自賠責保険会社に対して求償請求がなされます。

  この際、請求を受けた自賠責保険会社は、損害保険料率算出機構の審査の元に、治療費を支払うかどうか判断します。

  損害保険料率算出機構の審査では、事故と通院治療との間に相当因果関係があるかどうかが審査されます。

  その際、医療機関への通院の間隔が30日以上空いていると、特段の事情が認められない限り、因果関係が否認されてしまうといわれています。

  新型コロナウイルスが原因で外出ができなかった等がない限り、相当因果関係が否認されてしまう可能性が高いですので、通院の間隔はできる限り空けないようにしましょう。

事故後の通院の注意点

カテゴリ: 交通事故

名古屋の弁護士の能勢洋匡です。

 

 本日は、交通事故に遭われた通院時の注意点についてお話します。

 

1 交通事故と通院

  交通事故に遭われたら、できる限り早めに病院に通院する必要があります。

  痛みを我慢したまま通院せず、事故から何日も経過した後に通院した場合、事故と症状との因果関係が認められず、相手方保険会社や自賠責保険が治療費を支払わないおそれがあります。

 

2 受診時の注意点

  事故後、はじめて通院する際は、医師に対して、全ての症状を伝える必要があります。

  保険会社や裁判官は、事故直後が最も症状が重いため、患者は、全ての症状を医師に伝えているはずと考えます。  

  このため、事故から1か月以上後になってから、初回の通院時には医師の記録に残っていない症状をうったえたとしても、事故との因果関係が認められず、治療費を請求できない可能性が高いです。

  事故の直後は興奮していて、特に痛みがある部位だけしか医師に伝えられないこともあります。

  落ち着いた後、他に痛みを感じる部位があった場合、できる限り早めに通院して、医師に伝えるようにしましょう。

 

3 交通事故の直後は、突然のことで混乱してしまい、何をして良いかわからないことばかりだと思います。

  できる限り早めに、交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。

入院雑費

カテゴリ: 交通事故

名古屋の弁護士の能勢洋匡です。

 

 本日は、入院雑費にについてお話します。

 

1 入院中の雑費

  交通事故のお怪我は重症化しやすいため、医療機関への入院が必要となることも珍しくありません。

  入院中は病院の中で過ごす必要がありますが、その際、日常生活では必要ない物を購入しなければならないことがあります。

  たとえば、入院に必要な雑貨品や、栄養剤費などが考えられます。

  これら、入院に必要な物の購入に必要な費用も、相当性の範囲内で、損害賠償として請求することができます。

 

2 入院雑費の算定

  現在の実務では、入院雑費は、入院した日数1日あたり1500円(民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準参照)の定額で算定することが一般的です。

  これは、入院期間中は、様々な出費が生じますが、個々に必要性や相当性を判断し、立証を求めるのは困難であるためといわれています。

  なお、自賠責保険の基準では、1日当たり1100円の計算となります。

  一方、1日当たりの入院雑費が1500円を超える場合には、被害者の受傷の部位、程度、入院期間、年齢などの様々な事情を考慮して、その必要性・相当性が認められなければ、請求は認められません。

  このため、入院中の支払については、領収書を保管し、それぞれ、何のために購入したのか記録を残しておくことが望ましいといえます。

ドライブレコーダー映像保存の必要性

カテゴリ: 交通事故

名古屋の弁護士の能勢洋匡です。

 

 本日は、ドライブレコーダー映像の保存の重要性についてお話します。

 

1 ドライブレコーダーの重要性

  ドライブレコーダーは、運転している様子を映像として保存してくれます。

  このため、ドライブレコーダーの映像は、交通事故の事故状況を明らかにする、非常に重要な証拠です。

  交通事故の事故態様や過失割合が争いになった際は、ドライブレコーダーの映像が決定打となります。

  例えば、進路変更をしてきた自動車に衝突された場合、相手方が事前にウインカーを出していなければ、過失割合が2割加算されますが、ウインカーを出していなかったことは被害者側が証明する必要があります。

  被害者が、相手方車両がウインカーを出していなかったことを目撃したとしても、ドライブレコーダー等の映像の証拠がなければ、その証明は困難です。

 

2 映像の上書きに注意

  ドライブレコーダーのSDカードの容量は限定されていることから、映像は、古い物から順番に削除されていきます。

  このため、事故発生後にドライブレコーダーからSDカードを取り外しておかなかった場合、事故当時の映像が上書きされてしまうおそれがあります。

  映像が上書きされてしまうと、事故状況を証明する証拠が失われてしまいます。

  このため、交通事故に遭われたら、ドライブレコーダーからSDカードを取り出して、パソコンなどにバックアップを取るようにお願いします。

人身事故の届け出

カテゴリ: 交通事故

名古屋の弁護士の能勢洋匡です。

 

 本日は、交通事故の人身事故への切り替えについてお話します。

 

1 人身事故の意味

  交通事故に遭われて、警察に報告すると、交通事故証明書が作成されます。

  交通事故証明書には、人身事故・物件事故の記載欄がありますが、これは、被害者が怪我をしているかどうかではなく、人身事故の届け出がなされたかどうかによって区別されます。

 

2 人身事故への切り替え

  交通事故でお怪我をされたとしても、当初は物件事故として扱われます。

  事故後、警察に診断書を持って行き、人身事故への切り替えを申し出ることによって、物件事故から人身事故に切り替わります。

  事故から10日から2週間以上経過してから人身事故の届け出をする場合、警察が切り替えに消極的な態度をとることが多いため、切り替えは早めに申し出ましょう。

 

3 人身事故への切り替えの意味

  人身事故に切り替えると、加害者が、過失運転致傷罪などの罪により罰金刑などの刑事罰を受ける可能性が生じます。

  また、運転免許の点数に関する行政処分がなされ、免許停止・取消の対象になるおそれがあります。

  一方、物件事故扱いであったとしても、人を怪我させた以上、治療費や慰謝料といった損害賠償義務を負うのは同じです。

 

4 人身事故に切り替えるべきかどうか

  信号停車中の追突事故など、加害者側に10割の過失がある事故の場合、被害者側には、人身事故に切り替えるデメリットはありません。

  一方、加害者側は、人身事故になってしまうと、刑事罰・行政罰を受けるおそれがあるため、保険会社担当者から、物件事故でも治療費を支払うから人身事故に切り替える必要はないとの説明がなされることあるようです。

  人身事故に切り替えるかどうかは、被害に遭われたかたの判断に委ねられています。

  加害者から真摯な謝罪があるなどして、処罰を望まない場合には、物件事故のままにしておくことありえます。

  物件事故にしたままで自賠責保険金を請求する場合、人身事故扱いにしていない理由を明らかにする書類(人身事故証明書入手不能理由書)を提出する必要があり、人身にしなかった理由のチェック欄として、「受傷が軽微で」という項目があるため、怪我が軽くみられるおそれがあります。

  なお、事故について、被害者側にも過失があり、相手方も受傷している場合には、人身事故に切り替えた結果、被害者側も刑事罰や行政処分を受ける可能性があるため、あえてお互い物件事故のまま済ませることも考えられます。

通院継続の必要性

カテゴリ: 交通事故

名古屋の弁護士の能勢洋匡です。

 

 本日は、通院継続の必要性についてお話します。

 

1 交通事故と通院

  交通事故でお怪我をされた方は、医療機関で治療を受ける必要があります。

  被害者の中には、仕事の都合や通院に時間がかかるといった理由から、医療機関に通院することに消極的な方もおられます。

  しかしながら、治療を受ける必要性がある間は、できる限り通院を継続する必要があります。

 

2 打ち切り対策

  事故でお怪我をされた場合、加害者側の任意保険会社が医療機関に直接治療費を支払うことが多いです。

  しかしながら、この治療費の支払いは、任意保険会社が、必要な治療を終えたと判断した時点で打ち切られてしまいます。

  捻挫や挫傷といったお怪我をされた場合、症状が続いているかどうか、外見からははっきりとわからないため、通院をして診察や治療を受けなければ記録に残りません。

  任意保険会社は、被害者が通院の間隔をあけると、治療の必要性がなくなったと考えて治療費の打ち切りを早める傾向にあるため、継続的な通院が必要になります。

 

3 自賠責保険との関係

  任意保険会社は、医療機関に治療費を支払った後、自賠責保険に対して求償請求します。

  自賠責保険は、事故による受傷と通院との因果関係を審査したうえで治療費を支払うのですが、通院の間隔が30日以上空いている場合、因果関係を否定する傾向にあります。

  自賠責保険に治療費を求償できない以上、任意保険会社も治療費を支払いませんので、症状が続いている間は通院を継続してください。

治療費の打ち切りと被害者請求

カテゴリ: 交通事故

名古屋の弁護士の能勢洋匡です。

 

 本日は、治療費の打ち切りと被害者請求についてお話します。

 

1 治療費の打ち切り

  交通事故でお怪我をされた方は、医療機関で治療を受ける必要があります。

  自動車事故の場合、加害者が任意保険に加入していることが多いため、加害者側任意保険会社が直接医療機関に治療費を支払う「一括対応」を取ってくれることが多いです。

  一括対応が行われれば、被害者は安心して通院することができます。

  しかしながら、一括対応は、任意保険会社が症状固定と判断した時点で打ち切られてしまいます。

 

2 治療費の被害者請求

  日本の自動車保険は、法律上加入が義務付けられている自賠責保険と、自賠責保険の補償範囲を超える損害に対応するための任意保険の二階建てになっています。

  任意保険会社が医療機関に直接治療費を支払った後、支払った金額を自賠責保険会社に求償請求しています。

  一方、被害者は、自賠責保険会社に対して、直接請求することもできます。

  このため、一括対応が打ち切られた後の治療費を、自賠責保険会社に直接請求することにより、通院を続けることが考えられます。

 

3 被害者請求の際の注意点

  被害者請求をするに当たっては、事前に、請求が可能かどうか検討する必要があります。

  自賠責保険の上限である120万円を超えていないか、あるいは、事故態様から被害者請求が認められないケースではないか、といった点が問題となるため、一度、交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。

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