高次脳機能障害の

カテゴリ: 交通事故

名古屋の弁護士の能勢洋匡です。

 本日は、高次脳機能障害の後遺障害等級についてお話します。

 

1 高次脳機能障害とは

 ⑴ 高次脳機能とは、脳の機能のうち、理解する、判断する、論理的に物事を考える等の認知機能であり、知覚、言語、記憶、学習、思考、判断、感情等がこれにあたります。

 ⑵ 私たちは、ふだん、特に意識することもなくこれらの能力を使って生活しています。

 ⑶ ところが、何らかの原因で脳に傷害を負った結果、高次脳機能が正常に機能しなくなってしまい、高次脳機能障害という症状が生じます。

 ⑷ 高次脳機能障害が残ってしまうと、それまでのような生活を送ることができなくなり、周囲の人々との関係にも重大な影響を及ぼします。

 ⑸ 自動車事故が原因で高次脳機能障害が残ってしまった場合、自賠責保険の後遺障害認定を申請することができます。

 

2 高次脳機能障害の後遺障害等級

自賠責保険における高次脳機能障害の後遺障害等級は、以下のとおりです。

 ⑴ 別表第1 1級1号

  神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの

 ⑵ 別表第1 2級1号

  神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

 ⑶ 別表第2 3級3号

  神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの

 ⑷ 別表第2 5級2号

  神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの

 ⑸ 別表第2 7級4号

  神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

 ⑹ 別表第2 9級10号

  神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

 ⑺ 上記の基準に該当しなかったとしても、自動車事故により脳に傷害を負い、脳挫傷痕が残った場合には、12級13号が認定されることがあります。

 

3 高次脳機能障害の後遺障害認定にあたっては、「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムについて(報告書)平成12年12月18日」が参考になります。

 ⑴ 別表第1 1級1号

身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的な介護を要するもの。

 ⑵ 別表第1 2級1号

著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの

 ⑶ 別表第2 3級3号

自宅周辺を一人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの

 ⑷ 別表第2 5級2号

単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの

 ⑸ 別表第2 7級4号

一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの

 ⑹ 別表第2 9級10号

一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの

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